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ノイエ銀英伝8話感想・考察その2「ラインハルトとオーベルシュタインの共通点」

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8話「カストロプ動乱」
~光と闇、キルヒアイスとオーベルシュタイン~

キルヒアイスがカストロプ動乱を沈めてまもなく、イゼルローン要塞が陥落したとの知らせが帝国全土に広がった。軍務尚書エーレンベルグ、統帥本部長シュタインホフ、宇宙艦隊司令長官ミュッケンベルガーの三元帥は大きな衝撃を受ける。国務尚書兼帝国宰相クラウス・フォン・リヒテンラーデは皇帝フリードリヒ四世に帝国領土が敵に侵された罪を謝した。

ラインハルトはこうした動きを横目に見ながら、イゼルローンを陥落させたのがアスターテ会戦で戦ったヤン・ウェンリーであると知り、思いを巡らせる。

この時期、ラインハルトの元帥府にひとりの男が訪れた。イゼルローンの戦場から逃亡し帝国に帰還を果たしていたオーベルシュタインである。彼はラインハルトに自分がゴールデンバウム王朝を憎んでいることを伝え、ラインハルトの覇業に協力したいと伝えた。

オーベルシュタインを信用できないラインハルトはキルヒアイスに命じ、彼を銃口を突きつけるが、オーベルシュタインは表情を変えずにラインハルトを諭し続ける。ついにラインハルトはオーベルシュタインを信用し、彼を自らの麾下に引き入れることを決意した。

ラインハルトはイゼルローン失陥の責任をとって辞任を申し出た帝国軍三長官を遺留し、同時にオーベルシュタインの免責・自身の元帥府への転属を申し出たのだった。

銀河英雄伝説 キャラクターカードスリーブ オーベルシュタイン

帝国軍のトップ三長官が登場

ノイエ銀英伝8話前半の主人公をキルヒアイスとするなら、後半の主人公に当たるのはオーベルシュタインでしょう。ですが、このオーベルシュタインのキャラクターもまたキルヒアイスとの対比で表現されているので、全編を通してキルヒアイスが重要な役割を果たすのは変わりません。

銀河帝国における政治面でのトップであるリヒテンラーデに続き、後半では軍のトップであるエーレンベルグ、シュタインホフ、ミュッケンベルガーが登場します。ミュッケンベルガーはラインハルトが元帥に任じられるシーンで先に登場しているので覚えている方も多いでしょう。

彼らが任じられている軍務尚書・統帥本部長・宇宙艦隊司令長官は、それぞれ同格の地位として後に紹介されているため、帝国軍のトップはいわゆる三権分立のような形になっていることがわかります。

オーベルシュタインはなぜ「身の上話」を始めたのか?

オーベルシュタインはラインハルトの元帥府を訪れ、自らを配下に加えてくれるよう売り込みを行いました。ただし、ラインハルトの目から見るとこうした彼の動きは極めて怪しく映ったことでしょう。なにしろ、オーベルシュタインは先立ってキルヒアイスに接近し、ルドルフ大帝への批判とも取れる言動をしています。過去の考察でも述べたとおり、オーベルシュタインのこうした態度はラインハルトにとって「自分の真意を探るために接近してきた門閥貴族らの手先」であるかのように見えたことでしょう。

ノイエ銀英伝3話感想・考察その1「キルヒアイスとオーベルシュタインの出会い」
冒頭のナレーション 西暦2801年、太陽系第三惑星地球から、アルデバラン系第二惑星テオリアに政治的中枢を移した人類は、銀河連邦の成立を宣言。同年を宇宙暦1年とし、飽くなき膨張を開始した。 だが、いつかその繁栄にも限りが見...

オーベルシュタインはイゼルローン駐留艦隊司令部周辺における唯一の生存者です。ゼークト提督をはじめとするほかの将帥は皆戦死しているため、軍法会議で責任を負わせられようとしていました。オーベルシュタインがラインハルトに語ったとおり、この軍法会議は「形だけのもの」であり、国内の動揺を抑えるために最初から彼に責任をなすりつけようという軍上層部の意図が存在しているのは間違いありません。

ですが、オーベルシュタインは自身がヤン・ウェンリーの策を見抜いていたことや、そのことをゼークトに進言したことなどをラインハルトに伝えようとはしませんでした。代わりに「ゴールデンバウム朝を滅ぼしたいと考えていること」、「ラインハルトの覇業を支える意志があること」をPRしたのです。この態度にはどんな意図が隠されていたのでしょうか?

ラインハルトはオーベルシュタインの本音が知りたかった

ラインハルトは当初、こうしたオーベルシュタインの態度を見てますます彼に対する疑いの目を強めたかのような態度を示します。最も、ラインハルトの立場からすればこの場で「そうか、ゴールデンバウム朝を滅ぼすためにぜひ力を貸してくれ」などと言うわけにはいかないのは言うまでもありません。もしオーベルシュタインに門閥貴族など、ラインハルトと敵対する勢力の息がかかっていてラインハルトの失言を引き出そうとして演技しているのなら罠にかかってしまうことになるからです。

キルヒアイスに命じてオーベルシュタインに銃を突きつけたのも、彼がどこまで本気なのかその真意を確かめるための行動だったのでしょう。その証拠に、キルヒアイスは「オーベルシュタインを憲兵に引き渡せ」と命じられていながら、彼を拘束しようとはしていません。あくまで銃を突きつけるのみで、それを受けてオーベルシュタインがどのような反応を示すのかラインハルトとともに冷静に観察しています。おそらくは壁の向こうで聞き耳を立てていたか、もしくはラインハルトの真意を察して行動を合わせていたのでしょう。

恨みを原動力に、汚れ仕事を担当すると申し出る

こうしたラインハルトの意図を読み解くと、なぜオーベルシュタインが自身の義眼や、それに基づくゴールデンバウム朝への恨みなど自身の「身の上話」を行ったのか、その理由を推察することができます。

実は、ラインハルトとオーベルシュタインはある意味では「似た者同士」です。「義眼」と「姉」、それぞれ経緯は違いますが、ともに「銀河帝国に深い恨みを抱いている」という共通点を抱えています。従って、オーベルシュタインが義眼の話を持ち出したのは「自分にはあなたの気持ちがわかる。あなたも帝国を恨んでいるはずだ」というアピールだったと考えられます。

ラインハルトは破竹の勢いで出世を果たした「有名人」でした。「姉のおかげで出世できた」などと陰口を叩かれていたわけですから、その生い立ちもある程度軍内部では知られていたことでしょう。彼と似たような原体験を持つオーベルシュタインにとって、ラインハルトを動かす原動力が「帝国への恨み」であるということを理解するのはさほど難しくなかったはずです。だからこそ、今回のような自体が発生する前の時点ですでにキルヒアイスを通じてラインハルトへの接触を図っていたのでしょう。

とはいえ、このアピールはいわばラインハルトの情に訴えているようなものです。簒奪という大きな目標に立ち向かう「同士」となるためにはそれだけでは足りません。オーベルシュタイン自身がラインハルトの覇業に対してどのような貢献ができるかも合わせて伝えなければならないのです。

彼が選んだ言葉は「光には必ず影が付き従う」という表現でした。「ラインハルトが現在腹心としているキルヒアイスは『汚れ仕事』をやるには不向きである、その部分は代わりに自分が担当する」と伝えたのです。銃口を突きつけられても態度が変わらなかったことと、この一言が決め手になり、ついにオーベルシュタインはラインハルトからの信用を得ることに成功しました。

「ラインハルトの野心」に対する周囲の評価

ラインハルトはイゼルローン失陥の責任をとって辞職しようとした三長官をかばい、代わりにオーベルシュタインの免責を提案します。もちろん、これはオーベルシュタインを自らの配下にすることが目的なのですが、三長官はこうした彼の意図を察することはできませんでした。3人が無能かどうかはともかく、軍事という自分たちの専門分野を超えて考えの枠を広げられるほど柔軟な思考力は持ち合わせていない「老人」として描かれていると考えたほうがいいでしょう。

一方、リヒテンラーデはフリードリヒ四世に忠告していることからもわかる通り、ラインハルトの野心に注意を払っています。もっともリヒテンラーデが三長官に比べて有能だからというような単純な理由ではなく、彼の専門分野である政治の世界のほうが、組織内で成り上がるためにそうした権謀術数が重要であるということを示しているのではないでしょうか。その証拠に、ラインハルトが軍事的に功績を挙げて出世すること自体は、リヒテンラーデもそれ以外の門閥貴族にも特に妨害する方法がありません。この点はラインハルトが「早く一人前になる方法」として軍人の道を選んだメリットだといえるでしょう。

キャラクター同士の共通点と相違点

「銀河英雄伝説 Die Neue These」の第8話では、キルヒアイスとオーベルシュタインという2人の人物像が深く描かれました。

キルヒアイスはヤンウェンリーと、オーベルシュタインはラインハルトの人物像と重なる「共通点」が浮き彫りにされています。逆にキルヒアイスとオーベルシュタインを比較すると「汚れ仕事ができない人間とできる人間」、「光と闇」というふうに、対象的な部分が目立ちます。

こうした主要キャラクター同士の共通点・相違点がストーリーにどのような影響を与えていくのか、今後の展開が気になります。