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ノイエ銀英伝7話感想・考察その1「シェーンコップを待ち受ける4つの関門」

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7話「イゼルローン攻略(後編)」
~シェーンコップの過去と司令室への接近~

帝国からの亡命者で構成されるローゼンリッター連隊。その隊長であるワルター・フォン・シェーンコップは、歴代隊長と同じく「7人目の裏切り者」になるのではないかと噂されていた。ヤン・ウェンリーはそんな彼に、イゼルローン攻略戦で最も重要な役割を任せる。

無事要塞への入港を果たしたシェーンコップは、「フォン・ラーケン少佐」を名乗り、要塞司令部を目指して演技を続けていく。「同盟はイゼルローン要塞を無力化する方法を手段を考えた。ここにその作戦書がある」として、要塞司令官への面会を要請した。

ヤンの作戦は、「イゼルローン要塞の司令室を占拠する」というものだった。「敵であふれる要塞内を司令部まで無事に移動する」という第二関門が立ちはだかる。移動の最中、ブルームハルトの腕に入れ墨があることが咎められるが、シェーンコップは「任務のために必要だった」と釈明、難を逃れる。

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7話の主人公はシェーンコップ

7話の冒頭は、6話の回想から始まります。主に描かれるのは「裏切りの噂があるシェーンコップを信頼するか否か」です。この時点で、7話はイゼルローン攻略を描くものであると同時に、シェーンコップの人物像を深掘りする内容になることが伺えます。

実際、本編はほぼシェーンコップの周辺を中心に進行していき、同盟側の主人公格であるヤンは脇役的な立ち位置です。シェーンコップは過去にどのような経緯があって今に至っているのか、シェーンコップは信用できる人物なのかどうかが今回の主題だといっていいでしょう。

「貴族」というアイデンティティを失ったシェーンコップ

要塞に近づく間、シェーンコップはリンツとブルームハルトに「帝国で過ごした記憶はあるか?」と質問します。同じ部隊に属する部下とは言え、過去に関する質問はかなりプライベートな内容になりますから、今までしたこともなかったのでしょう。

リンツは亡命者のもとに生まれた二世で、帝国での記憶はありません。ブルームハルトは「祖父が嫌疑をかけられ殺された」と語っていますから、やはり親の世代のうちに同盟に亡命してきたのだと考えられます。

一方、シェーンコップはと言うと、6歳まで帝国で幼少期を過ごした記憶を持っていました。父親や母親の姿は見られず、祖父とともに過ごしていた日々の回想が描かれます。当時のシェーンコップは「将来は何になりたいか?」という祖父からの質問の意図をうまく理解することができませんでした。

このエピソードは、彼の人格を表現する大きなヒントになっていると考えられます。貴族の家に生まれたシェーンコップは、何不自由のない生活を送っていたために、「将来なりたい自分」をイメージすることができなかったのです。しかし、その後同盟に亡命したために、彼は「貴族」というそれまでの立場を失ってしまいます。これが彼の人格形成にどのような影響を与えたのかが7話を通して描かれるひとつのテーマです。

個人認証をどのように切り抜けるかがカギ

今回、司令部に侵入するメンバーに選ばれたのはシェーンコップ、リンツ、ブルームハルトの3人です。隊長であるシェーンコップは当然の人選ですが、残る2名はどのような基準によって選ばれたのか劇中では明らかにされていません。ヤンがシェーンコップの元を訪れ、作戦の概要を話し合った段階でも2名は会議に参加していますから、おそらくは実力を買われての人選だったのでしょう。

シェーンコップらを乗せた戦闘艦に対しては、要塞に入港する前に鑑識番号と乗員のIDコードを確認する作業が行われました。今回使用している帝国艦は鹵獲艦なので、おそらくは元々の船の鑑識番号と鹵獲時の乗員のIDコードを使用したと思われます。それならば、元々の船に保存されていた番号とIDをそのまま使用すれば良いはずなので、疑われる心配はありません。

帝国軍の個人識別がどのような方法によって行われているのかは不明ですが、現実の個人認証のように指紋など生体認証と結び付けられている場合、ごまかすのは非常に困難です。入港にあたっての認証は切り抜けたものの、乗員一人ひとりを個別に確認されてしまったらたちどころにバレてしまうでしょう。

要塞に侵入後、個人のID確認をされないような仕掛けが必要になるわけですが、それはもう少し後の段階で明らかになります。

シュトックハウゼンの心理を読んだ「侵入の口実」

要塞内に侵入したシェーンコップは、帝国軍を騙しながら司令部への侵入を試みます。ポイントは、「イゼルローン要塞を無力化する作戦案を入手した」として、要塞司令官に対する早期の面会を希望しているところでしょう。言うまでもなく、これは司令官に近づき、人質に取るための口実です。

この口実が優れているところは、要塞司令官であるシュトックハウゼンにとって「自分の評価に直結する内容」であるところでしょう。もしシェーンコップが語った内容が真実であった場合、要塞が無力化されてしまえば当然その責任は要塞司令官が追わなくてはなりません。シュトックハウゼンの立場からすれば、「ただちに詳細を聞きたい」という気持ちになっても不思議はないでしょう。

おそらく、この口実を考えたのはヤンであり、シュトックハウゼンの気持ちを考慮に入れた上で、効果的に働く口実はどのようなものか考えて設定していたはずです。後にこの意図は非常に効果的に機能します。

帝国の文化・習慣への知識と演技力が求められる

今回ローゼンリッター連隊に要塞侵入の任務を任せたことには2つの大きな意味がありました。ひとつはもちろん作戦遂行能力が高いことですが、もうひとつは言葉の問題を始め、帝国での文化に対する理解の高さです。

実際、移動中に遭遇したルドルフ大帝の像を前に敬礼するなど、帝国の文化・週間に対する配慮は余計な疑いを招かないために欠かせません。ただし、リンツとブルームハルトの2名は亡命2世であり、シェーンコップも幼少期の一時期を帝国で過ごした経験があるだけです。どうしても理解には不十分なところがあり、それが疑いを持たれる理由になってしまいました。ルドルフ像への敬礼の際、ブルームハルトの袖から見えた入れ墨が帝国兵に見つかってしまったのです。

ブルームハルト本人は思わず言葉に詰まってしまいましたが、シェーンコップは落ち着いた様子で事情を説明し、事なきを得ます。敵要塞への侵入という不確定要素の多い任務では、こうしたとっさの事態に対応する演技力も求められます。