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新銀英伝4話感想・考察その2「ヤンとジェシカの微妙な関係」

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4話「不敗の魔術師」
~ヤンとジェシカの会話~

士官学校でヤン・ウェンリーは、学年主席のマルコム・ワイドボーンと模擬戦闘を行う。ワイドボーンは艦隊を紡錘陣形にし、ヤンの艦隊に突入する。ヤンは少数の艦隊を別働隊として敵の背後に回らせ、残りの艦隊を左右に分け、応戦した。

ワイドボーンはそのまま構わずヤンの艦隊に突入、勝敗は決したかに見えたが、そのとき、ヤンの別働隊がワイドボーンの補給部隊を強襲。ヤンの勝利となった。この光景を見ていた校長・シドニー・シトレ中将のはからいにより、ヤンは戦略研究科への転科が命じられた。

命令が不服なヤンは、事務次長・アレックス・キャゼルヌ大尉に異議を唱えたが、学資の返還を求められ渋々転科に応じる。これをきっかけに、以後2人は親交を深めることになる。

士官学校が休暇となり、ラップは実家へと帰った。一人残ったヤンは、いつもと通り街の図書館へでかけたが、そこで偶然ジェシカと再開する。ジェシカは歴史の本ばかりに興味を示すヤンに対して、次のように問いかけた。

「あなたは何を見ているの?過去ばかり見つめて、他になにかしたくない?私は未来を見つめていたい・・・」

ヤンは黙ったまま、何も応えなかった。

名将に学ぶ 世界の戦術 (図解雑学)

歴史の中で何度も繰り返す、中央突破VS包囲殲滅

今回取り上げるシーンでは、ヤンの士官学校時代の活躍が描かれます。「戦史以外の成績は落第ギリギリ」とされていたヤンの模擬戦闘の相手は、学年主席のマルコム・ワイドボーンです。

ワイドボーンは紡錘陣形による敵中央突破を図り、対するヤンは艦隊を左右に分け、迎撃するという戦術で応じました。これは1、2話で描かれたアスターテ会戦において、ラインハルト率いる帝国軍、ヤン率いる同盟軍がとった戦術と同じです。

このように、「紡錘陣形による中央突破」と、「左右両翼を広げての包囲殲滅」は、古来から戦場で繰り返し登場する受け手と攻め手の典型的なパターンです。なぜ攻め手が紡錘陣形を取ることが多く、受け手が包囲殲滅を図ることが多いのか、以下のリンク先で詳しく解説されています。

戦国の合戦ではよく魚鱗の陣、鶴翼の陣などが言葉として出てくる。実際の合戦ではどうだったのだろうか?

まず、陣を鶴翼のように広げるのは本陣に回りこまれないようにする目的があったと思う。後方を敵に取られれば、まず勝ち目はないし、下手をすれば玉砕し総大将の首を取られる。
一方攻撃する側は、広がった陣形の端の部隊を集中して攻撃を仕掛ける。 真ん中への攻撃は左右からも攻撃されてしまうから、効率は当然よくないからだろう。史実の有名な合戦(野戦)のほとんどが、受け手が鶴翼の場合、端(突出部分)を集中的に攻撃をしている。

従って、攻め手に回っていたラインハルトとワイドボーンが、ともに紡錘陣形をとったこと自体は、別段不思議なこととは言えません。そして今回のワイドボーンはラインハルトと同様、ヤンの部隊を左右に分断し、先に右翼の艦隊に攻撃を集中しています。ラインハルトが同盟軍の第四、第六艦隊を次々に壊滅したように、分断した敵を各個撃破することを狙っていたのでしょう。

ヤンはワイドボーン艦隊が紡錘陣形をとったのを確認すると、「プランCを実行」と命令しています。アスターテ会戦においても、事前にラインハルトが各個撃破を狙うことを読み切っているように、今回もワイドボーンが中央突破を狙うのを読み、あらかじめ対策を用意していたのでしょう。

もしかしたら、アスターテ会戦においてパエッタ中将に却下されたヤンの策とは、ワイドボーンに対して行ったように敵の補給路を断つことを狙った戦術だったのかもしれません。いずれにせよ、この模擬戦闘はヤンの戦いに対する考え方を如実に表しています。

模擬戦闘での戦いが士官学校校長であったシドニー・シトレの目に止まり、ヤンは戦史研究家から戦略研究科への転科が命じられます。「(ただで)歴史を学びたい」という理由から戦史研究家を志したヤンにとっては望まない転科でしたが、事務次長・アレックス・キャゼルヌ大尉に説得され、渋々承諾することになりました。

ヤンとジェシカ2度目の再開

士官学校が休暇になり、ラップはヤンを自分の家に誘います。ヤンは身寄りのない身なので、休暇になっても行くところがないことを知ってのことでしょう。しかし、ヤンはせっかくの家族水入らずの時間を邪魔してしまうのを気にしたのか、ラップに付いていくことはありませんでした。

ヤンはいつもどおり向かった図書館で、ジェシカとの再開を果たします。彼にとっては、一度会話したとは言え「親友の幼馴染」というだけの関係ですから、おそらくちゃんと話すのは2度目のことだったでしょう。

1度目の会話では、ヤンが歴史から学んだルドルフについての話を語り、その様子を興味深くジェシカが見つめたところで終わっていました。そのときの会話を続けるように、ジェシカは「過去にしか興味が無いのか」とヤンに問いかけます。

ジェシカにしてみれば、過去は過去でしかなく、そこを見つめていても何も価値あるものは生み出せないように思えたのかもしれません。一方、ヤンはジェシカの問いかけに何も応えないまま、2人は再び別れることになりました。

ヤンに興味を持ちながらも、理解はできないジェシカ

このように、応えようと思えば応えられるような質問にすぐに返事をせず、いちいち一定の時間が経過した後で応えているのは、2人がお互いを理解し合うのに時間がかかっていたということを示す演出でしょう。

最初の喫茶店での会話にしろ、図書館での今回の再開にしろ、2人には十分会話をする時間があったはずです。それなのにこのように遅々として会話が進まないのは、「ほかにもいろいろ会話はしたが、ストーリー上意味のある部分だけをピックアップするとこうなる」というように解釈できます。実際には、ヤンもジェシカも、相手が話し終わった後、返事をせずに黙っているだけではなく、適当に話を合わせたり、話題を変えるなどして会話を続けていたはずです。

知り合ったばかりの相手、あるいは自分と考え方や価値観が大きく違う相手と深い会話をするには、今回のように非常に長い時間がかかる場合があります。相手が本当に聞きたいのはなんなのか、相手に自分の考えを正確に伝えるにはどんな言葉を選べばいいのか、簡単に答えが出ないこともあるはずです。

しかし、ジェシカは比較的長い時間を間にはさみながらも、相手の質問をしっかり覚えていて、それに対する返答も用意していました。ヤンを理解することはできなかったものの、彼の存在はジェシカの中で強く印象づけられていた証拠です。

ヤンは今回のジェシカの問いかけに対して、いつ、どのように返事を返すのでしょうか?

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