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新銀英伝3話感想・考察その4「ラインハルトが簒奪を決意した理由」

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3話「常勝の天才」
~幼年学校の思い出とアンネローゼの現在~

ラインハルト、キルヒアイス、アンネローゼの3人は、ケルシーのケーキを味わいながら楽しいひと時を過ごす。アンネローゼはラインハルトに用事を言いつけ、キルヒアイスと2人きりになると彼に労いの言葉をかける。

ラインハルトがキルヒアイスを頼りにしていることや、ラインハルトには才能があるが、同時に危うさも抱えていることを指摘。「ラインハルトを支え、必要とあらば叱るように」と依頼、キルヒアイスも快く引き受ける。

その夜、ラインハルトとキルヒアイスは幼年学校を卒業した日に語り合ったことを思い出す。
ラインハルトは、当時ルドルフ像の前で、「ルドルフに可能だったことが俺に不可能だと思うか?」とキルヒアイスに問いかけていた。キルヒアイスは「宇宙を手にお入れください」と応える。空に広がる無数の星々を眺めながら誓った野望を胸に、2人は今日まで歩んできたのだった・・・。

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 親しいながらも気を使い合う、気心の知れた関係

アンネローゼは、幼いころ3人で食べたケルシー(すもも)のケーキをラインハルトとキルヒアイスに振る舞います。皇帝の寵姫が使用人も連れず、お手製のケーキを振る舞っているわけですから、彼女がいかに2人との時間を大切にしているか伺うことができるでしょう。

さらに、アンネローゼはいただきもののヴァンローゼ(黒ブドウのワイン)を取りに行くようラインハルトに伝え、キルヒアイスと2人きりになりました。これはキルヒアイスと2人で会話をするための口実であり、ラインハルト、キルヒアイスの両人もそのことがわかった上で乗っかっているのでしょう。せっかくの姉と弟の再会なのですから、キルヒアイスが「私がとってきましょう」といい出してもいいはずなのに、そのような素振りを見せていないことがその証拠です。おそらく、今まで2人がアンネローゼの元を訪れたときにも、たびたびこういうことがあったのではないでしょうか。

 ラインハルトの危うさ、キルヒアイスの存在意義

アンネローゼはキルヒアイスと2人きりになると、軽く世間話をした後で、ラインハルトの話を始めました。ラインハルトのハイペースな出世に、アンネローゼも危うさを感じているらしく、キルヒアイスに弟を支え、必要があれば叱るようにと頼み込んでいます。

キルヒアイスの方は、「ラインハルトのおかげで自分も出世できている」と謙遜しましたが、アンネローゼはそんな彼を「もっと自分を評価するべき」と諭しました。実際、幼年学校で次席に登ったのはキルヒアイス自身の能力の高さ、努力の賜物です。ラインハルトの影に隠れてしまいがちですが、類まれな人物であるのは間違いないでしょう。

これは完全に私の想像ですが、もしかしたらラインハルトが転校してきた日、2人が噴水に落ちたふりをして喧嘩したことをごまかそうとしたのをアンネローゼは気づいていたのかもしれません。たとえ制服が濡れていたとしても、ラインハルトの制服だけが砂や土で汚れていれば彼女も彼らの嘘を見破ることができていたはずです。それなのに指摘しなかったのは、自分を心配させまいとした弟の優しさと、一緒になって彼をかばおうとした友人の気持ちを愛おしく思っていたからではないでしょうか。

話が一段落ついたころ、ちょうどラインハルトがヴァンローゼを持って戻ってきました。アンネローゼは弟と入れ替わるようにグラスを取りに行くと言って席を立っています。今度はラインハルトとキルヒアイスを2人きりにして、自分に聞かれたくない会話をさせようとする配慮でしょう。3人分のグラスとはいえ、トレーなどを用意するか、2人がくる前にあらかじめテーブルの上に置いておくこともできるからです。

「銀河を手に入れる」と改めて誓ったのはなぜか?

ここで場面は再び夜となります。アンネローゼの家から帰宅した後かはわかりませんが、キルヒアイスはバルコニーで星を眺めるラインハルトを見つけ、話しかけます。ラインハルトは「あの日から、ここまできた」と意味ありげなセリフを発しましたが、「あの日」とは「幼年学校を卒業した日」、「ここまで」とは、「ラインハルトが帝国元帥になったこと」をそれぞれ意味しているのでしょう。

ラインハルトの言葉を受けて、キルヒアイスは再び幼年学校を卒業した日のことを思い出します。ラインハルトは銀河帝国を建国したルドルフ大帝のことを「時流に乗って皇帝になっただけの、傲慢な野心家」と切り捨て、「ルドルフに可能だったことが俺には不可能だと思うか?」とキルヒアイスに問いかけました。

言うまでもなく、これは「ラインハルト自身が皇帝となること」、つまりはゴールデンバウム朝に対する簒奪の意思を表すものです。3話冒頭のナレーションでは、銀河帝国の建国以来、さまざまな反乱が起きたものの、「いずれも成功しなかった」と説明されています。最も大きな成功例は自由惑星同盟の建国でしょうが、それもまた150年の戦争を経て現在に至っており、銀河帝国の屋台骨を揺るがすには至っていません。

それなのに、幼年学校を卒業したての若者が、「皇帝になって銀河を手に入れる」と発言したのです。普通なら、身分不相応な大言壮語だと捉えられても仕方ありません。しかし、キルヒアイスは幼い日に、「アンネローゼを取り戻す」とラインハルトと誓った親友です。従って、ラインハルトも単なる夢物語を語っているわけではなく、より具体的な目的として「銀河を手に入れること」を示しているわけです。

「姉を取り戻す」ための具体的な手段を思いついた経緯

ラインハルトは幼年学校にキルヒアイスを誘ったとき、「軍人になれば早く一人前になれる。一緒にアンネローゼを取り戻そう」と語っています。しかし、早く一人前の大人になったからといって、それだけでは皇帝の寵姫を取り戻すことはできません。何かもっと具体的で、現実味のある手段が必要だったのです。とはいえ、この時点でのラインハルトにもキルヒアイスにも、そういったプランは何も思い浮かばなかったのではないでしょうか。

その後、彼らは幼年学校の中で、大貴族と平民の格差という、帝国社会が抱える矛盾を嫌というほど見せつけられました。社会が矛盾を抱えているということは、その矛盾を解決してくれるような存在が潜在的に求められている、ということを意味します。仮に帝国の支配体制が崩壊すれば、その頂点にいる皇帝も地衣を失うことになるので、アンネローゼの奪還は現実味を帯びてくるはずです。

ラインハルトが「軍人として出世を重ねて権力を握り、帝位を簒奪してアンネローゼを取り戻す」というプランを思いついたのはこのときでしょう。ラインハルト1人が肯定の地位に上りたいと思っていたとしても、それだけでは実現する可能性はかなり低いと言えます。しかし、帝国社会が大きな矛盾を抱えている以上、今の体制に不満を持つ人間、つまり自分を支持してくれる可能性が高い人も少なくないはずだ、とラインハルトは考えたのでしょう。

賛同者が増えれば、それだけ簒奪が成功する可能性も高くなります。幸いにしてラインハルトは幼年学校で主席をとるほどの軍事の才能があったので、チャンスに恵まれさえすれば出世の道を歩むことも不可能ではありません。

「自身の軍事的才能に自信を深めたこと」、「陰ながら帝国を憎むものが多いと知ったこと」、この2点が、ラインハルトに簒奪を決意させる引き金になったと考えられます。キルヒアイスは、誰よりも長い時間ラインハルトと共に過ごし、彼の考えは誰よりもよく理解していたはずです。彼もまた、ラインハルトの主張に全面的に賛成できたので、迷うことなく「銀河をお取りください」と応えることができたのでしょう。

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