スポンサーリンク

ノイエ銀英伝3話感想・考察その3「帝国社会の暗部とキルヒアイスの幸せ」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 4

スポンサーリンク

3話「常勝の天才」
~幼年学校の思い出とアンネローゼの現在~

幼きキルヒアイスは、皇帝に奪われたアンネローゼを取り戻すため、ラインハルトと共に幼年学校に入学する。そこには、従僕やメイドを引き連れ、こき使う大貴族の子弟たちの姿があった。

キルヒアイスとラインハルトは、厳しい訓練の傍ら、帝国の支配階級たる貴族たちへの反感を募らせていく。

数年後、ラインハルトは主席、キルヒアイスは次席として幼年学校を卒業する。卒業の日、ルドルフ大帝の像を前にして、ラインハルトはキルヒアイスに何かを語りかけようとしていた。

物語の舞台は再び現代に戻る。ラインハルトとキルヒアイスは、2人でアンネローゼに会いに行く。幼い日にそうしていたように、3人はアンネローゼお手製のケルシーのケーキの味わう。

常勝の天才

 幼年学校にコネ入学した2人

キルヒアイスとラインハルトは、2人そろって幼年学校に進むことになりました。幼年学校については前回も簡単にご説明しましたが、軍の士官候補生を育成するための学校です。コトバンクの「陸軍幼年学校」の記述を参照してみましょう。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - 陸軍幼年学校の用語解説 - 将来陸軍の将校を志願する少年に対して,初歩的な軍事学や軍事訓練を加味しながら,おもに普通学科を教授し,軍人精神の涵養 (かんよう) をはかる学校。日本の旧陸軍では,明治2 (1869) 年の兵学寮幼年学舎がその始りで,同5年陸軍幼年学校と...

陸軍将校養成のための初等学校。起源は1870年大阪兵学寮内に設けられた幼年学舎。1875年幼年学校として独立。熊本・広島・大阪・名古屋・東京・仙台の6校が敗戦まで存続。中学校1〜2年から入学,修業年数は3年。卒業後,陸軍士官学校の予科に進んだ。

百科事典マイペディアの解説

銀河英雄伝説の幼年学校は、「宇宙軍の幼年学校」ですが、特に言及されていないので設定はほぼ現実の幼年学校を踏襲しているものと思われます。

ラインハルトとキルヒアイスは、他の幼年学校の生徒からあまり良く思われていない様子で、陰口を叩かれている光景が描かれます。ここで、ラインハルトは「グリューネワルト伯爵夫人の弟」と呼ばれているため、アンネローゼは後宮に入ったことによってそのような称号を得たのだと考えられます。

伯爵夫人(はくしゃくふじん)は、伯爵の妻、また女性の伯爵の称号である。

原作や旧アニメ版では明確な言及がありますが、アンネローゼの場合は、「自身が伯爵位を持つ女性」の意味で使われています。キルヒアイスについては「なんで平民がここにいるんだ」と言われており、2人ともアンネローゼのコネで入学したことが伺えます。

ラインハルトとキルヒアイス以外の生徒は、ほぼ貴族の子弟で占められている様子です。貧乏貴族と平民の息子がコネでそんなところに入ってきたわけですから、快く思われないのも当然でしょう。

大貴族との身分格差を実感

幼年学校では、大貴族の子弟が従僕やメイドを引き連れて身の回りの世話をさせる光景が描かれます。一方で、ラインハルトとキルヒアイスは厳しい訓練に明け暮れていました。おそらくは、ラインハルトのような貧乏貴族の子弟は真面目に訓練して前線勤務に回され、大貴族は名ばかりの訓練を受けただけで卒業し後方勤務に回される、というふうに、身分によってその後の待遇が大きく違っているのでしょう。

ラインハルトはろくに訓練もせず、従僕をこき使って遊びにふける大貴族の子弟たちに表立って反発する様子は見せませんでしたが、心の中では反発心をつのらせていきます。

「あいつらは今日の地位を自分の努力で獲得したわけじゃない。あんなやつらの風下に立つべき理由は何一つないんだ!」

と述べており、キルヒアイスもそれに同調しています。学校にいたころ、ラインハルトは「貴族の息子」ということでいじめの対象になりかけていましたが、本人が貴族であるという点を周囲にひけらかすようなことはありませんでした。

キルヒアイスもそうした身分の違いをあまり気にする様子は見せていませんでしたが、幼年学校に入ったことで、位の高い貴族の子弟がどのような人間性を持っているか、まざまざと見せつけられたことでラインハルト同様に彼らに対する反感を強めていったと思われます。

帝国社会の闇を見た2人は、何を決意したか?

ここで一気に時は流れ、ラインハルトとキルヒアイスは幼年学校を卒業します。ラインハルトは卒業式において「卒業生総代」と呼ばれていました。総代とは卒業生の代表という意味で、必ずしも主席=最優秀の生徒が務めるとは限りませんが、続いて名前を呼ばれたキルヒアイスが「次席」と言われていることから、主席として総代に選ばれたのは間違いないでしょう。2人が厳しい訓練の日々を乗り越え、立派な軍人になったことが伺えます。

描かれる時間こそ少ないものの、卒業式の後、2人が歩く帝国の街とそこで暮らす人々の様子も重要なシーンです。街には活気がなく、人々は力なく路上に座り込み、うつむいています。2人はそうした人々の間を通り過ぎ、広場にあるルドルフ大帝像の前に立ちました。像の瞳には監視カメラが仕掛けられていますが、今までの描写を見る限り単なる防犯用のものではなく、ルドルフ像に不敬を働くものがいないか監視するためのものだと考えたほうがいいでしょう。

像の前で2人が何を語ったのか、それはより後のシーンで明らかにされます。

ラインハルトとキルヒアイスの「幸せ」

ここで物語は一旦過去の回想を離れ、再び現在の時間に戻ってきます。元帥の称号を得た翌日、予定通りにラインハルトとキルヒアイスの2人は、アンネローゼに会いに行っていたのです。

2人の前に姿を現したアンネローゼは、皇帝の寵姫とは思えないほど質素な服装をしていました。ラインハルトは普段の冷静な様子とは打って変わり、少年のような明るい声色になっており、それを見ていたキルヒアイスも「あのころと何も変わらない」と懐かしい気分に浸っています。

3話の前半が回想に使われたのは、ラインハルトとキルヒアイスのこれまでの歩みを描く意図はもちろんあったのでしょう。しかし、それに加えてラインハルトとキルヒアイス、アンネローゼ3人の人柄と、彼らが何を「幸せ」と感じているか、何のために行動しているかといった背景を描く目的も会ったのだと思います。

特にキルヒアイスに限っていえば、ラインハルトとアンネローゼが昔と同じように、仲の良い姉弟であり続ける様子を見守ることが、何ものにも代えがたい幸福だったのでしょう。

スポンサーリンク
noteでも記事を公開しています(有料含む)

noteの記事はこちら

note(外部サイト)でも記事を公開しています。一部の記事は有料になっており、閲覧にはnoteへの登録と支払いが必要です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク