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「ボブネミミッミ」に隠された心理的効果(1/3):「いらない」と言われる理由

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早くも2018年覇権アニメの呼び声が高い「ポプテピピック」。しかし、その中に原作にはない、賛否両論を集めているコーナーがあります。「天才ビットくん」を始めとするTVアニメや、著名アーティストのMVなど個性的な動画制作で知られる「AC部」が担当する「ボブネミミッミ」のコーナーです。

今回はこのボブネミミッミが、どのような意図で作られているのか考えてみました。

本記事は3つに分割されています。続きのリンクはこちら

(本記事末尾にも続きへのリンクがあります)

「ボブネミミッミ」に隠された心理的効果(2/3):慣れを防ぐメカニズム
(1/3のまとめ) ポプテピピックは、「シュールなギャグ」とパロディが売り アニメは、「A・Bパートで声優が交代するショートショートの1話15分×2回の作品」として作られている ↓ 「ボブネミミッミ」は本編中に挿入される...
「ボブネミミッミ」に隠された心理的効果(3/3):だんだん好きになっていく理由
(2/3のまとめ) ポプテピピックの肝である「シュールなギャグ」と「パロディ」は視聴者が慣れてしまうと効果が薄れる 心理学の見地から見た「馴化」=慣れの特徴を知ると、ボブネミミッミが視聴者の「慣れ予防」に効果を発揮することがわかる ...

第一部:4コマギャグ漫画からアニメへの転換

アニメ「ポプテピピック」は2018年1月から放送が開始されました。

特徴はシュールなギャグと徹底したパロディです。「クソアニメ」を自認し、毎回見る人の予想を上回る(予想できないレベルの)展開を連発してアニメファンの話題をさらっています。

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アニメ化に伴う付随的な変更点

本作は元々4コマ漫画なので、アニメ化するにあたっていくつか変わってしまった部分があります。ここでいう変更点とは、「原作ネタの改変」のようなものを意味するわけでなく、「漫画」と「アニメ」という作品形式の変更に伴う付随的な変更点です。

まずは、本作に限定されたことではなく、漫画原作のアニメ作品すべてに共通して起こりうる変化を確認しておきましょう。

「コマとコマの間」の描写の追加

漫画の場合、ストーリーはひとコマずつ進行していきます。一方アニメでは、1フレームごとに描かれた絵を連続で表示し、動いているように見せることになります。漫画では描かれず、見る人の脳内で保管してもらうことになる「コマとコマの間」の描写まで描かなければなりません。

音響の追加

静止画から動画になるわけなので、キャラクターボイス(CV)、サウンドエフェクト(SE)、バックグラウンドミュージック(BGM)などが必要になります。

4コマ漫画に適したショートショートの形式

これらの相違点は、作品の性質によっては大きな問題にならない場合もありますが、逆に非常に大きな違いとして現れることも珍しくありません。「コマとコマの間」の描写について言えば、ポプテピピックのような原作が4コマ漫画の作品は大きな影響を受けます。1回の話を動画にしたとしてもせいぜい数分間しか持たないため、アニメは必然的に短い話を繰り返す「ショートショート」に近い形式で作られることが多いです。

ポプテピピックと同じように、4コマ漫画からアニメ化された作品はたくさんあります。最近スポンサー交代のニュースで話題になった「サザエさん」なども有名ですが、これらも1回あたり8分×3本という構成で放送されています。

Aパート・Bパートで声優を変え、同じ話を繰り返す

「音響の追加」についてはどうでしょうか?こちらは多くの作品ではそれほど問題になることはありません。ですが、ポプテピピックの場合事情が少し異なります。「他作品のパロディ」という要素が作品の中で重要な位置を占めているためです。漫画では主に小回りや絵といった視覚でパロディねたを表現していましたが、アニメ化によってCV、SE、BGMといった聴覚に訴えかける手段を新たに得たことになります。

アニメ「ポプテピピック」は、原作由来のネタの面白さだけでなく、「15分ずつ、ポプ子とピピ実の声優を変えて同じ話を繰り返す」というその異色の構成で第1話から大きな話題になっていました。この方法は、さきほどご説明した

  • 「コマとコマの間の描写」の追加
  • 「音響」の追加

という2つの問題を見事に解決しました。本作は非常にディープかつシュールなパロディネタが面白さの主体なので、次から次へとテンポよくネタを畳み掛けていかないと面白さが最大限に発揮できません。かといって、30分も続けてしまうと今度はネタが濃すぎて視聴者の頭が情報処理に疲れてしまいます。ですから、1回の尺を放送時間帯の半分にあたる15分にしたのはいい判断だったと思います。

声優変更の効果でパロディの面白さが倍増

そして、後半の15分は主役2人のCVが別の声優に代わります。基本的に、アニメファンなら声を聞いただけで誰だかわかるような有名声優が起用されるため、聴覚に訴えかけるパロディネタをふんだんに追加してマンネリを防ぐことができるわけです。

おそらくは最初からそうした効果を狙って意図的にこのような編成をとっていたのでしょう。

ここまでのまとめ

ポプテピピックは、「シュールギャグ」と「パロディ」が売りの作品である。

4コマ漫画からのアニメ化に伴い、「コマとコマの間の描写」と「音響」が追加された。

その結果「A・Bパートで声優を変える、ショートショートの15分アニメ」という形式になり、パロディの面白さをアップすることに成功した。

以上を前置きとした上で、いよいよ今回の本題である「ボブネミミッミ」の話に移ります。ボブネミミッミは本編の制作陣とは異なり、独特の作風で知られるクリエイティブユニット「AC部」が制作を担当しています。

ボブネミミッミとは、アニメ『ポプテピピック』の永遠の新コーナーにして休まらない箸休めである。誰が呼んだか「揚げ物の箸休めに油飲まされてる」コーナー。制作はAC部。 概要 アニメ『ポプテピピ...

AC部とは日本のクリエイティブユニット。

ボブネミミッミは、本編のネタの合間に挿入される形で放送されています。実際に制作を手掛けたAC部の安達氏は、その役割を次のように表現しました。

視聴者の反応はどうかというと、「本編よりも面白い」といった好意的な意見も多い中、

「いらない・キモい・狂気・つまらない・不安になる・怖い」

といったネガティブな感情を抱いている人も多いようです。ボブネミミッミに対する視聴者のスタンスは、以下の4パターンに分類できます。

  • ポプテピピックは好き、ボブネミミッミも好き
  • ポプテピピックは好きだけど、ボブネミミッミは嫌い
  • ポプテピピックは嫌いだけど、ボブネミミッミは好き
  • ポプテピピックは嫌い、ボブネミミッミも嫌い

「漫画原作があるアニメなのに、その一部のパートを別の制作陣に作らせる」という、極めて異例な形で作られている「ボブネミミッミ」。一体なぜこのようなコーナーが存在しているのでしょうか?

ボブネミミッミの特徴

ボブネミミッミの存在理由を明らかにするために、まずポプテピピック本編と比較する形でボブネミミッミの特徴をピックアップしてみましょう。

作画はAC部独特の絵柄

ポプテピピック本編も、かなり突き抜けたシュールギャグなので奇抜な絵柄で描かれるシーンも多いのですが、ボブネミミッミの絵柄の奇抜さはそれをさらに上回るインパクトです。ボブネミミッミが嫌いな人には、この絵柄が苦手な方が多いようです。

Aパート、BパートでCVが同じ

ボブネミミッミでは、AC部のメンバーである板倉氏と安達氏が声優を務めており、本編のプロ声優はキャラを演じていません。両氏はプロの声優ではないため、その「素人演技」がどういった効果をもたらすの考える必要があります。

原作ネタの改変がある

基本的に、ボブネミミッミのコーナーも原作漫画のネタを使って作られているのですが、オチなど一部に改変があります(本編の方も一部改変されているネタがあるようです)。本編とボブネミミッミで、チョイスしたネタがかぶっている部分があるので、そこを見ると違いがわかりやすいはずです。

「ポプテピピックは好きだけど、ボブネミミッミは嫌い」という視聴者は「ポプテピピックにはなくて、ボブネミミッミにある要素を嫌っている」と考えられます。あるいは、「ポプテピピックにあって面白いと感じる要素が、ボブネミミッミにはないから嫌っている」という可能性もあるでしょう。

わかりやすいのは、以上の3点のうち、いずれかが引っかかっているというパターンです。たとえば、「絵柄がキモい、見ていると不安になる」、「声優の演技が下手だから嫌い」、「原作ネタの改変がつまらないからいらない」といった理由で嫌いになる原理はわかりやすいはずです。

実際、視聴者から「賛否両論」を巻き起こしていることからもわかるように、明確な理由がなければ本来こんなコーナーを本編中に挿入する必要はありません。逆に言うと、ボブネミミッミが作られていることには、明確な演出上の理由があるはずです。

制作を担当している安達氏は、ボブネミミッミを「箸休めのコーナー」と表現しています。しかし、AC部は特に作画を中心に本編以上に作る映像の癖が強いため、なぜこんなに「濃い」ものを箸休めに持ってきたのかを考えなければなりません。

そこでここからは、心理学の視点からボブネミミッミにどのような演出効果があるのか考えてみたいと思います。(2/3に続きます)

「ボブネミミッミ」に隠された心理的効果(2/3):慣れを防ぐメカニズム
(1/3のまとめ) ポプテピピックは、「シュールなギャグ」とパロディが売り アニメは、「A・Bパートで声優が交代するショートショートの1話15分×2回の作品」として作られている ↓ 「ボブネミミッミ」は本編中に挿入される...
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